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    ‘講座’ カテゴリーのアーカイブ

    恩師との再会

    2019/10/15

    NHKコンクールの時期に、ちょうど恩師がドイツから来日され、東京でマスタークラスを開催されるとのことで、門下生も日本全国から集まり、恩師との再会を皆で喜び、大変楽しい時間となりました。
    昨日はマスタークラスも聴講でき、先生のレッスンが毎週楽しみで仕方なかった当時を懐かしく思い出すとともに、「音楽は楽しむもの」と教えていただいたおかげで今があることの有難さを改めて感じた1日でした。

    レッスンの内容は深く、曲のもつ意味や背景、音楽の組み立て方から細部に渡る練習法まで、大変濃い内容で、いつか熊本にもおいでいただき、生徒の皆様にもレッスン受講のチャンスをつくれれば、とつくづく思いました。

    それにしても、当時と変わらず、とても71歳とは思えないエネルギー溢れる魅力的なお人柄は皆を惹きつけ、もちろん音楽に対して真摯で、しかも写真も個展を開くほどの素晴らしい作品を多数撮影される芸術家であり、いつまでも若々しい姿を見て、こうありたいと思いました!

    今回全てオーガナイズをしてくださった現地在住の門下生の方には改めてお世話になりました!

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    和音であそぼう講座終了しました

    2018/03/19

    昨日、少人数グループによる「和音であそぼう講座」が終了しました。
    いつもの個人レッスンの補足として音楽理論を強化すべく、また教室間のつながりを広げる目的で開講当初より開催している講座。
    今回は、同じメロディでも和音の選び方の違いで変わる曲の雰囲気や、つなげる楽しさを実感していただきました。
    後半では、音楽カルタ大会での真剣勝負や、練習曲の発表など、その時々で何事にも全力で集中して取り組む子どもたちのパワーに元気をもらいました♪
    それにしても、音楽カルタでの子どもたちの反射神経の素早さには圧倒されました!
    とても大人はついていけない…と子どもの力を改めて感じた一日でした。
    ご参加いただいた皆様、どうもありがとうございました!

    ベートーヴェン3大ソナタセミナー

    2017/02/16

    本日は、ピアノハープ社ギャラリーにて、関本昌平先生による、「ベートーヴェンの3大ソナタの魅力」セミナーが開催されました。
    関本先生といえば、ショパン国際ピアノコンクールや浜松国際ピアノコンクールにて4位に入賞されるなど、国際的に活躍されるピアニストで、その視点からベートーヴェン3大ソナタと称される「悲愴」、「月光」、「熱情」を演奏を中心に語ってくださり、その力強い音色や軽やかな響きに癒されるとともに、大いに刺激を受けました。

    古典に代表されるMozart,Haydn,Beethovenの特徴として、

    Mozart・・・ポジティブで長調の曲が多く、幸福感を表す
    Haydn・・・ きっちりとしているが、ユーモアがある
    Beethoven・・・苦悩→歓喜、マイナス→プラスへ
    開放的なMozartとは対称的で、内面的な感情を閉じ込めた重厚な音楽

    同音による刻みやトレモロなどが内に秘めた感情を表し、中でも大きな特徴は、一つのソナタの中で、全楽章にわたりMotif(モティーフ)が形を変えて出現するなど、ベートーヴェンのソナタには楽譜を読み解くのが思わず楽しくなるような魅力が隠されています。

    悲愴の第2楽章は長調ですが、どこかうなっているような感情が表現されていたり、sfz(スフォルツァンド)やsub P(スビトピアノ)など、予測できない展開があります。

    テンポキープしながらも、強い意思を感じさせるベートーヴェンのピアノソナタには意外性も隠れており、改めてベートーヴェンのソナタを弾きたくなりました。
    また一段とベートーヴェンソナタの魅力を感じることができ、勉強になった1日でした。

    ピティナピアノフェスティバル

    2016/08/23

    本日、上智大学にて音楽医科学センター主催のシンポジウムおよびピティナピアノフェスティバルが開催されました。

    前半は「音楽を感じる脳」と題し、東京大学教育学部特任教授の藤井進也先生が、
    後半は「音楽が傷つける脳」と題し、国立精神神経医療研究センター病院神経内科部長の坂本崇先生のレクチャーが行われました。

    藤井先生はドラマーでもあり、音楽に関する様々な研究をなさっています。
    日本は音楽売り上げでは世界的にトップレベルであっても、音楽関連の論文は少ないとのこと。
    テンポ良く繰り広げられるトークに惹きつけられ、あっという間の時間となりました。
    興味深かったのは、

    ・音楽は社会性とリンクする
    実験から得られたデータに基づいており、リズムやテンポ感という感覚が同期した人ほど、協調性が高いとのこと。

    今後も藤井先生の研究に期待が高まります。

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    続いて坂本先生は手の障害においては、弾けない症状や原因を正しく突き止めて治療を行うことが重要と仰います。

    ・力が入らないー中枢末梢神経・・・脳神経
    ・痛くて動かせないー骨、関節・・・整形
    ・緊張して震えるー精神的・・・心療内科
    ・余計な力が入るージストニア・・・神経内科

    それぞれの症状により対処法が異なるため、運動の司令と制御のどこに問題があるのかを突き止める必要があるということ。
    現在ジストニア治療においては難しい面もありますが、神経内科の名医である坂本先生のレクチャーは大変説得力があり、今後も様々な治療法の確立が期待されています。

    シンポジウムの最後にはピアニストお二人による連弾の演奏もあり、洗練された響きに幸せなひとときとなりました。

    続いて午後は、音楽医科学センター長の古屋晋一先生による講演
    「練習は脳を育む」

    上達に必要なものは練習量以外が8割とのお話。
    重要なのは、
    ・練習の質
    ・親のサポート
    ・良い教師
    ・身体の使い方
    ・メンタル・・・練習×メンタル=本番

    量に重きを置くと、疲労することで神経細胞に影響し、脳が変わるということでした。
    印象に残った点をいくつか挙げると、

    【育む練習】
    ・リズム練習
    ・ポジティブ思考
    ・身体への気づき
    ・力んでない身体部位を意識

    【育まない練習】
    ・無意識に反復のみ
    ・譜読みの姿勢 ー無理な体勢で呼吸を止めると筋肉の動きも止まる

    小さい頃の癖は一度身につくとなおすのに相当な時間を要し、一生残るため、指導においては責任感をもって注意深く観察・指導しなくてはなりません。
    またそれが故障のリスクを減らすことにも繋がります。

    【動きのレパートリー】
    表現の数=動きの数
    様々な動きのレパートリーをもつ(時代・作曲家によって)

    故障のリスクを減らせる
    冗長性を利用

    【エラーマネージメント】
    ・エラーをポジティブに活用する
    ・エラーの重要度をランク付け
    ・ゴールを高めに設定(120%)
    ・データを記録・活用ー失敗した時のデータを分析・応用
    ・「時間」の力を活用
    ・身体の認識度を高める
    ・色々な動きで練習する

    など、科学的な観点からのお話は普段なかなか伺うことのできない貴重な情報となりました。

    続いて、東京音大教授の土田 英介先生による
    「ベートーヴェン解析講座」〜初期のソナタを紐解く〜

    こちらも演奏・指導する上で大変勉強になることばかりでした。
    土田先生の解釈が大変分かりやすく、なるほど、と思うことばかりで、改めてベートーヴェンの天才ぶりを垣間見ることができました。
    弾くだけではもったいない、内容を理解してこそ何倍も楽しめるものだとつくづく思いました。

    充実したレクチャーの数々、非常に内容の濃い一日となりました。

    昨日は台風の影響で始発便から軒並み欠航、幸い午前の便で羽田上空まで来て着陸を試みるも、悪天候で着陸できず、再び熊本空港へ引き返すという始末‥。
    その後条件付きで再出発し、何とか無事に到着できた故の本日の収穫。
    何事も経験を蓄え、瞬時の判断力を鍛えなければとつくづく感じた日々でした。

    脳の世紀シンポジウム 音楽と脳

    2015/09/17

    昨日は有楽町朝日ホールにて、第23回目の脳の世紀シンポジウムが開催され、今回は「音楽と脳」というタイトルで、主に音楽にフォーカスした脳の機能や障害、今後の治療効果など大変有益な情報に溢れ、役立つ内容ばかりでした。


    初めに登場されたのが、世界的ピアニストの舘野 泉さん。
    脳出血により右半身付随になるも、不屈の精神で見事に左手のピアニストとして復帰を果たされ、80歳を目前に、その繊細な音で多くの方を魅了されています。

    この日は、スクリャービンの夜想曲をはじめ、舘野さんのために作曲された左手のための楽曲を演奏してくださり、その音色に会場中が温かい雰囲気に包まれました。

    対談形式にて、【左手で弾くということ】というテーマでお話してくださいました。
    半身付随になり、これまでの膨大なレパートリーを一瞬にして失ったにも関わらず、ある日ヴァイオリニストの息子さんがピアノの上に置いた左手のための楽譜を見て、「1年後に日本全国でリサイタルをやる!」と宣言されたというお話。
    左手での演奏活動に大変満足しておられ、「与えられた楽器で最良の演奏をするのが演奏家」という信念をお持ちで、演奏はもちろん人間的にも尊敬するピアニストです。
    これまで舘野さんのために作曲された左手のための曲は、コンチェルトや室内楽も含め72曲にのぼるそうです。

    今年発売された舘野さんのご著書「命の響」~左手のピアニスト、生きる勇気をくれる23の言葉~は、音楽家や音楽を学ぶ方にとってはもちろん、人間が生きていく上で大変重要なヒントが数多く隠されている1冊です。
    教室に置いてありますので、ご興味がおありの方は是非!

    続いて、4名の先生方のプレゼン。
    まずは脳を知るという切り口で、国立精神・神経医療研究センターの本田 学先生による講演
    【耳に聞こえない高周波が音楽の感動を高める】

    高音質で話題のハイレゾリューション・オーディオ(ハイレゾ)。
    人間の耳で聞き取れるのは20kHzまでですが、それを遥かに超えた高周波数を記録・再生できるハイレゾは、明らかに美しく快く感動的に感じられるということから、高周波が脳に与える効果「ハイパーソニック・エフェクト」を脳科学の観点からお話してくださいました。

    LPとCDでは、LPの方があたたかみを感じる、といった音質の違いが話題になることもあったようですが、CDやDVDの規格が22kHzに決められたのは、これまでの音質実験では脳を考慮していない、という背景があったそうです。
    人間の耳には聞こえない高周波を豊富に含んだ音を聴いている時には、脳の快感中枢が強く活性化されるのだそうです。
    ただ、スピーカーを通して全身で聴いた場合には効果があるが、イヤホンを通してでは効果がないということでした。
    したがって、この聞こえない高周波は、体にあてなければ効果がないという興味深いお話でした。
    電子ピアノが普及した昨今、ヘッドホンをつけて練習するよりも、音を全身で感じながら練習する方が明らかに効果が高いのも納得です。

    また、多くの高周波を含む環境は熱帯雨林であるということ。
    都市は建物に遮断されますが、熱帯雨林には多くの昆虫が生息しており、その昆虫の3分の1は人間の耳には聞こえない音で鳴いているということです。
    脳を取りまく環境を、例えばハイレゾなどのメディア環境を変えていくことで、今後うつ病や認知症などとの関連、研究が進んでいくのではないかとの、大変興味深いお話でした。

    続いて、脳を守るという切り口で、三重大学大学院医学系研究家の佐藤 正之先生による
    【神経疾患に対する音楽療法:音楽がもたらす脳の可塑性】

    フランスの作曲家 モーリス・ラヴェルは楽譜が書けないという右手の運動障害 失音楽症がありました。

    現在認知症患者は、全国に426万人おり、2025年には少なくとも700万人に達すると推定されているそうです。
    予防には運動が推奨されていますが、それに音楽が加わった場合、認知機能の効果をさらに高めるということが実験から明らかになったというお話でした。
    音楽が加わることで、リズムに合わせる、などの認知機能訓練がなされるという解説は納得です。
    ただ、注意点として、リハビリにおける音楽活用の歴史は古いが、まだ研究は始まったばかりであり、薬物療法と同じく、音楽療法も行う対象と方法を間違えると思わぬ副作用を生じかねず、雰囲気や思い込みでなく科学的事実に基づいた音楽療法の確立が求められる、という可能性とともに重要性を帯びた分野は、音楽に関わる者としては曖昧な知識だけではなく、心しておかなければと実感しました。

    続いて、脳を育むという切り口で、沖縄科学技術大学院大学の杉山 陽子先生による講演
    【聴くことで発達する脳~鳥が歌を学習する仕組み】

    多くの日本人が英語のLとRの発音の違いを聞き分けられないのは、生まれてから大人の言葉を聞いて形成された神経回路では、日本語に含まれない音を含む外国語の音を上手く処理できない、ということです。
    ソングバードの1種であるキンカチョウを用いた実験で、親の歌を聴き、それを真似する過程で自分の歌を聴き、それを擦り合わせることで学習するという仕組みですが、キンカチョウには臨界期があり、子どもの頃にしか学習できないのだそうです。
    印象的だったのは、記憶形成に関する内容で、例えば外国語を学ぶ際に、

    CDやDVDの音声のみ聞く場合→効果なし
    生身の人間から聞く場合→効果あり

    という実験があるそうです。
    鳥が歌をスピーカーから流すのみでは学習しないのと同様、そこに自らの意欲という内的要因が加わらなければ効果がないというように、どう学習しているかによって変わるというお話は、ピアノのレッスンにおいても然り、動機付けが大変重要なのだと、興味を持たせるのも大人の大きな役割だと実感します。

    続いて、脳を創るという切り口で、上智大 音楽医科学研究センター長である古屋 晋一先生による最後の公演。
    【音楽家の脳~脳のやわらかさの光と闇】

    自らもピアノを演奏なさる古屋先生は、音楽家の脳と身体について、神経科学、生体工学の観点から研究を行っておられ、音楽家は「文化の担い手」と仰るほど音楽家のQOLを守るためにかける姿勢には、本当に頭が下がります。

    何世紀も前の偉大なる作曲家が遺した文化遺産たる音楽を、現代の今でなお私達が生で鑑賞できるのは、文化の担い手である音楽家のおかげと言っても過言ではないと仰います。
    それほど音楽家の方を心から尊敬していらっしゃるのが伝わってきます。

    しかし膨大な練習が時に神経疾患を引き起こすという闇の部分にもフォーカスし、その治療法の確立、またこのような神経疾患を引き起こす前に予防をする、そのような研究・取り組みに心血を注いでいらっしゃる大変尊敬できる先生です。

    神経疾患の代表格は「ジストニア」と言われる、古くはロベルト・シューマンも苦しんだ病気。
    現代の今もなお、病態の解明はおろか、完治に至る治療法は確立されていないこの病気。
    複雑な動きを高速度かつ高精度に行う反復練習が原因と言われますが、痛みはなく、例えば演奏中のみ指が丸まったり伸びたりし、意図せずコントロール不能になるなど、医者からすれば大変診断が難しいものです。

    その背景には、音楽家の脳と非音楽家の脳を比較すると明らかに異なるように、学習により構造や機能が変化するという脳の可塑性(かそせい)のメカニズムが隠されているということでした。
    昨今では研究も進み、新しい神経リハビリテーションの確立に向け、医工芸と連携して研究がなされているようです。
    また、IT技術の発達により、MIDIデータでジストニアかどうかを判断したり、更にはどの指がジストニアなのかを判断する電子ピアノも登場するかもという情報には、驚嘆するとともにテクノロジー発達の驚異的なスピードを感じずにはいられません。

    最後に古屋先生が仰った、
    「脳科学は文化を護る」という言葉が大変印象的でした。
    最後には古屋先生のピアノ演奏もあり、またもや会場中に音楽の素晴らしさと幸せな時間がもたらされ、今回のシンポジウムの内容の深さと有益な情報、また日々研究に取り組んでおられる先生方への感謝の念でいっぱいになりました。

    やはり音楽はいいな、と感慨深い1日となりました。

    バロック インヴェンション講座

    2015/09/15

    本日は、赤松林太郎先生のバロック・インヴェンション講座がピアノハープ社ギャラリーにて行われました。
    対位法は、音楽を学ぶ上でも指導の上でも欠かせない重要なテーマで、対位法を美しく、音楽的に仕上げるための知識と演奏指導法を伝授していただきました。

    毎回赤松先生の講座は分かりやすいエピソードとともに軽快なトークが面白く、グッと凝縮された時間となりました。

    今回はバロックの中でも学習者にとっては避けて通れないJ.S.Bachのインヴェンション15曲の概略とそれぞれのポイントをお話いただきました。

    指導者にとっては、一度学習済みのものではありますが、何度やっても飽き足りないほど内容は深く、その都度新たな発見があり、ますますバッハの奥深さに魅了されます。

    印象的だった内容は、

    ◼︎左手の終止形を探す
    終止形といっても、完全終止(Ⅴ7-Ⅰ)、半終止(Ⅴ)、偽終止(Ⅴ-Ⅵ)など様々な終止形がありますが、分かりやすいのは、Ⅴ(7)-Ⅰの完全終止。
    それを探すことで、次の提示部が明確になり、全体を把握しやすいというのがメリットです。

    ◼︎和音が聞こえるように弾く
    左手のベースラインが単音で構成されていても、常に和音を想像しながら曲を捉え、演奏していくということ。
    いわゆる通奏低音(バロック音楽における伴奏の形態で、ベースラインに適切な伴奏を付けて演奏すること)です。
    これは、日々のレッスンで取り入れている和声分析の重要さを改めて実感します。
    導入期から、分かりやすい簡単なものから分析を継続していくと、常に和声を意識しながら演奏できるという点では、曲の内容を重視したレッスンの大切さが身にしみます。

    ◼︎tr(トリル)は音価の長い音符から優先的に
    しっかりと響かせることが大事で、それがバロック音楽の特徴でもある、[和声で縛る]ことにつながるということ。

    ◼︎シンコペーションの役割
    1音で1つの和音を構成するのではなく、その先のもう1つの和音も支えるだけの音量をもって演奏するということ。

    これ以外にも、

    ・各曲ごとに音量に責任をもって演奏すること
    ・偽終止と最後のデクレッシェンドの関係
    ・インヴェンションを4声と捉えた時に、聞こえづらい中声部(テノール)の出し方
    ・バッハの3要素(舞曲、対位法、ファンタジア形式)

    など多くの注意点がありますが、バッハの音楽には、それらを理解し、音に隠されたメッセージを読み取り、宗教的な音楽により近づけ、美しい響きを作り上げる醍醐味があるように思います。

    次回はインヴェンションに引き続き、シンフォニアの講座も新たな発見がありそうで楽しみです。

    4期の知っておくべきこと~ロマン派~

    2015/07/17

    本日は、赤松林太郎先生の【「4期」の知っておくべきこと】シリーズの最終章 ロマン派の講座がピアノハープ社ギャラリーにて行われました。
    古典は残念ながら聞けなかったものの、どの時代の講座も納得する内容で収穫が多く、今後の指導の参考となるものばかりで新鮮でした。
    ピティナの課題曲をはじめ、その時代の特徴を捉えながら、曲の解釈を教えていただきました。

    今回先ずはロマン派の中でも圧倒的な人気を誇るショパンとシューマンに焦点を当て、音程についてのお話から。

    キーワードは、

    【完全4度】ー夢を表す (シューマンに代表されるトロイメライなど)

    【長6度】 ー 希望を表す (ショパンに代表されるノクターンなど)

    例えば、トロイメライの冒頭のメロディ、ドーファ〜(完全4度)。
    Dur(長調)であれば、うっとりするような夢を、moll(短調)であれば悪夢と変わるという点。

    また、ショパンのノクターンOp.9-2の冒頭のメロディ、シ♭ーソ〜(長6度)。
    こちらもDurであれば希望に満ちた音楽に、またmollであれば失望と化すということ。

    他の作品にも当てはまるものがたくさんあり、これはアナリゼする上で多いに役立ちました。

    もう一つ興味深かったのは、

    シューマンらしさー完全4度の密集(密集:ベースを除く他の声部が1オクターブ以内に配置されるもの)

    ショパンらしさー 長6度のかい離(かい離:ベースを除く他の声部が1オクターブより開いているもの)

    シューマンはよく影を描くと言われ、陰影の付け方がシューベルトと比較されたり、派手さはないものの、それがまた美しく響き、多くの人を魅了するとのお話でした。

    最後にもう一つ、

    ショパンでよく使われる調性は、

    ・Des-durー最も美しい瞬間に(ノクターンOp.27-2など)
    ・f-moll ー最も悲劇的な瞬間に(幻想曲など)
    ・As-durー英雄的な作品(英雄ポロネーズなど)

    時代は変わりますが、

    Beethoven Es-dur
    J.S.Bach h-moll
    Scarlatti D-dur,d-moll

    作曲家により調性に特徴があり、選曲や組み合わせを考える上でも大変参考になるお話でした。

    また、鍵盤が88鍵になったロマン派の特徴として、

    ・低音を鳴らし、左手でふくらませる。
    ・立体感をつけるべく、高音域の輝きを鮮やかに。(彩度)

    メロディばかりにとらわれず、もっと他声部を聴くことの重要性、伴奏のみで音楽をつくる大切さはどの時代にも共通するなと感じました。

    全4回にわたり、それぞれの時代にまつわる音楽的語法を余すことなく教えてくださった赤松先生のレクチャーは大変興味深いものばかりで学ぶもが多々ありました。
    先生の熱心な探究心に大いに刺激を受け、これを自分の中で時間をかけて消化し、今後の演奏・指導に役立てていきたいと思います。
    曲は一生かかっても弾ききれないほどあり、新しい曲との出会いは楽しみでもあります。
    いくら学んでも学びすぎることはないと、つくづく思います。

    ソルフェージュ講座Vol.2 終了しました

    2015/06/14

    本日、導入・初級と進度別のソルフェージュ講座を3部制にて行いました。
    新教室に移転してから少人数制のグループレッスンができる環境になったことは大変嬉しく、読譜力はもちろん、総合的な音楽力を身につけ将来に活かすことができればと、様々な講座を企画していきたいと思います。

    先ずは普段のレッスン曲から1曲ずつ披露していただきました♪

    初級は、前回のごく基本的なⅠーV7ーⅠのカデンツに続き、本日はⅠ-Ⅳ-Ⅴ7-Ⅰを用い、一人ずつ曲に伴奏付けを行いました。
    また曲の1フレーズを取り出し、メロディラインや響かせたい音がどこにきているかなど、各自探してもらい、おおまかな曲の構成を学びました。
    今後譜読みをする際に少しでも参考になれば幸いです。

    導入コースは、ドレミの音の階段を一人ずつ順番に歌いながら、上行下行の並びを復習。
    なかなか音が出てこない時には、隣の子が教えてあげたり、みんなで協力して楽しい雰囲気を創り出してくれました。

    その後はリズムたたき♪
    カスタネットやトライアングルなどの打楽器を用い、一人ずつピアノのリズムを聴き、真似して叩いてもらいました。
    短い1ー2小節の短いリズムでしたが、みなさんよく叩けること!
    パーフェクトでした。

    音読みの練習などの後は、導入も初級も音楽カルタ大会で盛り上がり、みんな真剣勝負。
    楽語も少しずつ覚える量が増えてきました。
    カルタは知識はもとより反射神経も求められますが、みなさん一生懸命集中してくれ、あっという間の1時間でした。

    お休みの日に保護者の方にもご協力いただき、どうもありがとうございました。
    また次回を企画したいと思います。
    みなさん、お疲れさまでした!

    4期の知っておくべきこと〜バロック〜

    2015/05/01

    本日、ピアノハープ社ギャラリーにて赤松林太郎先生をお迎えして、第2回目の講座が行われました。
    【「4期」の知っておくべきこと】と題し、前回の近現代に続き本日はバロックを取り上げ、時代にまつわるお話をはじめ、様々な角度からバロック時代の音楽についてレクチャーしていただき、今回も充実した内容ばかりで勉強になりました。

    バロックと一言で言っても、それ以前には華やかなルネッサンス時代があり、ヨーロッパの建築との関係も交えながら装飾について分かりやすくお話してくださいました。

    欧州の中でも特にイタリアやフランスでよく目にする一般的な教会などは、どの時代に建てられたものか、ということが音楽とも密接に関係しており、装飾のないものから、随所随所に施された実に細かい芸術とも言える装飾のあるものに移り変わるまで、その時代の流れを知っておく必要があると痛感しました。
    音楽においては、この装飾音がバロック時代に生み出されたものであるという点では、このバロック期というのはクラシック音楽を学ぶ上では大変重要な時代であると言えます。

    興味深かったのは、バロック期の音楽でも国により違いや特徴がある点。

    イタリア ー オペラ(うたう)
    フランス ー 舞曲(踊り)→メヌエットやガヴォット
    ドイツ ー ポリフォニー(多声音楽)

    特にメヌエットに関しては、最初の音が和音(3和音)になっているかなっていない(単音、1和音)かによってテンポが決まるということ。

    和音で始まるもの→響かせたいためにテンポは遅い
    単音で始まるもの→テンポが速い

    現代の楽譜にテンポや強弱記号が書き込んであっても、雰囲気を表すには当時の感覚をよく知っておかなければ、捉え方によっては当時の音楽とは程遠いものになってしまうということ。

    また、国による特徴として、

    フランスー装飾が多い→優雅
    イタリアー装飾が少ない→テンポが速い

    上記2国の特徴を取り入れたのがドイツであり、オルガンの伝統に則って対位法を用いたポリフォニー音楽へと発展していきます。
    J.S.Bachのインベンションやシンフォニーが学習者にとっては馴染みが深いかと思います。

    インベンションを例に挙げてお話いただいた中でもう一つ印象に残ったのが、2声の曲であっても、基本は4声(ソプラノ・アルト・テノール・バス)で捉えるのが前提であるという点。
    確かにインベンションの流れを追ってみると、ここはアルトで始まり、次はバスに移り変わっているな、という箇所が随所に出てきて演奏や暗譜をする上で大変参考になりました。

    また、前回とも重複しますが和音は気分を表すということ。
    メロディのみで音楽を作ろうとしないこと。

    最後にまとめると、
    バロックは、「1つの感情で支配される」というところに行き着きました。
    調性に関係なく曲がもつ性格や様式にふさわしく創り上げていくという点。
    単純そうで大変奥が深いバロック。
    それぞれの時代の特徴を知っておくことは演奏はもとより指導する上では必須であり、一生勉強なのだな、と改めて思います。
    それにしても、クラシック音楽はいくら勉強してもしすぎることはないと、ある意味幸せなことだなと実感します。

    バロック音楽の和声美は聴いていても演奏していても、何とも言えない心に響く美しさがあります。

    それぞれの国の音楽の特徴は、その時代背景も大きく関連し、当時を知り曲を深く探っていくには歴史にも想いを寄せなければ、と感じた一日でした。

    作曲家とその時代の音楽的語法

    2015/04/10

    本日から4回にわたり、【「四期」の知っておくべきこと】と題し、赤松 林太郎先生を講師に迎え、バロック・古典・ロマン派・近現代各時代の作曲家を取り上げながらその歴史的背景や奏法などのレクチャーが始まりました。

    初回は近現代から。

    楽譜に記されている記号自体は同じでも、その時代によって表現法が異なることを前提に、近現代では旋法のキャラクターや調性のもつ気分などが大きく関わってくるというお話は興味深く、時代の流れから解釈していく赤松先生のレクチャーは多くの例を取り上げながら大変分かりやすく学ぶものが数多くありました。

    この時代になってくると一層複雑になり感情を表すことが難しくなってきますが、絵や文学と同じく音楽でもその表現法は様々な形で表すことが可能ということ。

    本日のお話にもあったように普段意識しているつもりでも、ついおろそかにしてしまいがちな点は、

    ・音価の長いものを大事に、そこに意識を向ける(音符の差が価値に)
    ・伴奏だけで音楽をつくり、メロディは最後に。

    よく左手の伴奏も聴くように、と意識しても、それだけで音楽をつくるには至っていないことが多々あることに気付き、勉強になりました。
    そう意識して伴奏だけ弾いてみると、これがまた美しいんですね♪

    そして更には
    ・休符に表情をもたせる

    それぞれの休符の捉え方によって次の音に責任をもつというお話は、音楽家・指導者として常に意識しておかなければならない点だと痛感しました。

    また、
    伴奏に気分を表す

    先程の伴奏だけで音楽をつくる、という点と相反するようですが、歌わず、間の取り方や音色の変化などを上手く取り入れながらセンスよく作り上げていくということ。

    特にバルトークに関しては、言語や民族性に関わる部分が大きく、ハンガリー語にヒントを得てバルトークの音楽を解釈していくお話は大変参考になり新鮮でした。
    また赤松先生の演奏されるバルトークのかっこいいこと!!
    これを機にバルトークに対する興味が増し、演奏してみたくなりました♪

    他にも数多くの細かい奏法や、ペダリング、記号の解釈の仕方など、短時間に余すことなくレクチャーしていただき、今回もまた収穫の多いセミナーとなりました。
    次回を楽しみに待ちたいと思います。

    お話を伺いながら、調性、和声を感じながら弾くことの大切さを改めて実感するとともに、それを生徒さんにどれだけ分かりやすく伝えられるか、そこにピアノレッスンの意義があるように思います。