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    バロック インヴェンション講座

    本日は、赤松林太郎先生のバロック・インヴェンション講座がピアノハープ社ギャラリーにて行われました。
    対位法は、音楽を学ぶ上でも指導の上でも欠かせない重要なテーマで、対位法を美しく、音楽的に仕上げるための知識と演奏指導法を伝授していただきました。

    毎回赤松先生の講座は分かりやすいエピソードとともに軽快なトークが面白く、グッと凝縮された時間となりました。

    今回はバロックの中でも学習者にとっては避けて通れないJ.S.Bachのインヴェンション15曲の概略とそれぞれのポイントをお話いただきました。

    指導者にとっては、一度学習済みのものではありますが、何度やっても飽き足りないほど内容は深く、その都度新たな発見があり、ますますバッハの奥深さに魅了されます。

    印象的だった内容は、

    ◼︎左手の終止形を探す
    終止形といっても、完全終止(Ⅴ7-Ⅰ)、半終止(Ⅴ)、偽終止(Ⅴ-Ⅵ)など様々な終止形がありますが、分かりやすいのは、Ⅴ(7)-Ⅰの完全終止。
    それを探すことで、次の提示部が明確になり、全体を把握しやすいというのがメリットです。

    ◼︎和音が聞こえるように弾く
    左手のベースラインが単音で構成されていても、常に和音を想像しながら曲を捉え、演奏していくということ。
    いわゆる通奏低音(バロック音楽における伴奏の形態で、ベースラインに適切な伴奏を付けて演奏すること)です。
    これは、日々のレッスンで取り入れている和声分析の重要さを改めて実感します。
    導入期から、分かりやすい簡単なものから分析を継続していくと、常に和声を意識しながら演奏できるという点では、曲の内容を重視したレッスンの大切さが身にしみます。

    ◼︎tr(トリル)は音価の長い音符から優先的に
    しっかりと響かせることが大事で、それがバロック音楽の特徴でもある、[和声で縛る]ことにつながるということ。

    ◼︎シンコペーションの役割
    1音で1つの和音を構成するのではなく、その先のもう1つの和音も支えるだけの音量をもって演奏するということ。

    これ以外にも、

    ・各曲ごとに音量に責任をもって演奏すること
    ・偽終止と最後のデクレッシェンドの関係
    ・インヴェンションを4声と捉えた時に、聞こえづらい中声部(テノール)の出し方
    ・バッハの3要素(舞曲、対位法、ファンタジア形式)

    など多くの注意点がありますが、バッハの音楽には、それらを理解し、音に隠されたメッセージを読み取り、宗教的な音楽により近づけ、美しい響きを作り上げる醍醐味があるように思います。

    次回はインヴェンションに引き続き、シンフォニアの講座も新たな発見がありそうで楽しみです。

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