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    4期の知っておくべきこと~ロマン派~

    本日は、赤松林太郎先生の【「4期」の知っておくべきこと】シリーズの最終章 ロマン派の講座がピアノハープ社ギャラリーにて行われました。
    古典は残念ながら聞けなかったものの、どの時代の講座も納得する内容で収穫が多く、今後の指導の参考となるものばかりで新鮮でした。
    ピティナの課題曲をはじめ、その時代の特徴を捉えながら、曲の解釈を教えていただきました。

    今回先ずはロマン派の中でも圧倒的な人気を誇るショパンとシューマンに焦点を当て、音程についてのお話から。

    キーワードは、

    【完全4度】ー夢を表す (シューマンに代表されるトロイメライなど)

    【長6度】 ー 希望を表す (ショパンに代表されるノクターンなど)

    例えば、トロイメライの冒頭のメロディ、ドーファ〜(完全4度)。
    Dur(長調)であれば、うっとりするような夢を、moll(短調)であれば悪夢と変わるという点。

    また、ショパンのノクターンOp.9-2の冒頭のメロディ、シ♭ーソ〜(長6度)。
    こちらもDurであれば希望に満ちた音楽に、またmollであれば失望と化すということ。

    他の作品にも当てはまるものがたくさんあり、これはアナリゼする上で多いに役立ちました。

    もう一つ興味深かったのは、

    シューマンらしさー完全4度の密集(密集:ベースを除く他の声部が1オクターブ以内に配置されるもの)

    ショパンらしさー 長6度のかい離(かい離:ベースを除く他の声部が1オクターブより開いているもの)

    シューマンはよく影を描くと言われ、陰影の付け方がシューベルトと比較されたり、派手さはないものの、それがまた美しく響き、多くの人を魅了するとのお話でした。

    最後にもう一つ、

    ショパンでよく使われる調性は、

    ・Des-durー最も美しい瞬間に(ノクターンOp.27-2など)
    ・f-moll ー最も悲劇的な瞬間に(幻想曲など)
    ・As-durー英雄的な作品(英雄ポロネーズなど)

    時代は変わりますが、

    Beethoven Es-dur
    J.S.Bach h-moll
    Scarlatti D-dur,d-moll

    作曲家により調性に特徴があり、選曲や組み合わせを考える上でも大変参考になるお話でした。

    また、鍵盤が88鍵になったロマン派の特徴として、

    ・低音を鳴らし、左手でふくらませる。
    ・立体感をつけるべく、高音域の輝きを鮮やかに。(彩度)

    メロディばかりにとらわれず、もっと他声部を聴くことの重要性、伴奏のみで音楽をつくる大切さはどの時代にも共通するなと感じました。

    全4回にわたり、それぞれの時代にまつわる音楽的語法を余すことなく教えてくださった赤松先生のレクチャーは大変興味深いものばかりで学ぶもが多々ありました。
    先生の熱心な探究心に大いに刺激を受け、これを自分の中で時間をかけて消化し、今後の演奏・指導に役立てていきたいと思います。
    曲は一生かかっても弾ききれないほどあり、新しい曲との出会いは楽しみでもあります。
    いくら学んでも学びすぎることはないと、つくづく思います。

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