最近のコメント

    4期の知っておくべきこと〜バロック〜

    本日、ピアノハープ社ギャラリーにて赤松林太郎先生をお迎えして、第2回目の講座が行われました。
    【「4期」の知っておくべきこと】と題し、前回の近現代に続き本日はバロックを取り上げ、時代にまつわるお話をはじめ、様々な角度からバロック時代の音楽についてレクチャーしていただき、今回も充実した内容ばかりで勉強になりました。

    バロックと一言で言っても、それ以前には華やかなルネッサンス時代があり、ヨーロッパの建築との関係も交えながら装飾について分かりやすくお話してくださいました。

    欧州の中でも特にイタリアやフランスでよく目にする一般的な教会などは、どの時代に建てられたものか、ということが音楽とも密接に関係しており、装飾のないものから、随所随所に施された実に細かい芸術とも言える装飾のあるものに移り変わるまで、その時代の流れを知っておく必要があると痛感しました。
    音楽においては、この装飾音がバロック時代に生み出されたものであるという点では、このバロック期というのはクラシック音楽を学ぶ上では大変重要な時代であると言えます。

    興味深かったのは、バロック期の音楽でも国により違いや特徴がある点。

    イタリア ー オペラ(うたう)
    フランス ー 舞曲(踊り)→メヌエットやガヴォット
    ドイツ ー ポリフォニー(多声音楽)

    特にメヌエットに関しては、最初の音が和音(3和音)になっているかなっていない(単音、1和音)かによってテンポが決まるということ。

    和音で始まるもの→響かせたいためにテンポは遅い
    単音で始まるもの→テンポが速い

    現代の楽譜にテンポや強弱記号が書き込んであっても、雰囲気を表すには当時の感覚をよく知っておかなければ、捉え方によっては当時の音楽とは程遠いものになってしまうということ。

    また、国による特徴として、

    フランスー装飾が多い→優雅
    イタリアー装飾が少ない→テンポが速い

    上記2国の特徴を取り入れたのがドイツであり、オルガンの伝統に則って対位法を用いたポリフォニー音楽へと発展していきます。
    J.S.Bachのインベンションやシンフォニーが学習者にとっては馴染みが深いかと思います。

    インベンションを例に挙げてお話いただいた中でもう一つ印象に残ったのが、2声の曲であっても、基本は4声(ソプラノ・アルト・テノール・バス)で捉えるのが前提であるという点。
    確かにインベンションの流れを追ってみると、ここはアルトで始まり、次はバスに移り変わっているな、という箇所が随所に出てきて演奏や暗譜をする上で大変参考になりました。

    また、前回とも重複しますが和音は気分を表すということ。
    メロディのみで音楽を作ろうとしないこと。

    最後にまとめると、
    バロックは、「1つの感情で支配される」というところに行き着きました。
    調性に関係なく曲がもつ性格や様式にふさわしく創り上げていくという点。
    単純そうで大変奥が深いバロック。
    それぞれの時代の特徴を知っておくことは演奏はもとより指導する上では必須であり、一生勉強なのだな、と改めて思います。
    それにしても、クラシック音楽はいくら勉強してもしすぎることはないと、ある意味幸せなことだなと実感します。

    バロック音楽の和声美は聴いていても演奏していても、何とも言えない心に響く美しさがあります。

    それぞれの国の音楽の特徴は、その時代背景も大きく関連し、当時を知り曲を深く探っていくには歴史にも想いを寄せなければ、と感じた一日でした。

    コメントをどうぞ

    *