‘世界音楽紀行’ カテゴリーのアーカイブ

ベルリンフィル ジルべスターコンサート

2015/12/30

本日は、以前から聴きたかったヴァイオリニスト Anne-Sophie Mutterを迎えてのベルリンフィルのジルべスターコンサート。
チケット取得を試みたのは発売日の今月に入ってからでしたが、Simon Rattle指揮、豪華ソリストの共演に、世界中からアクセスが集中し、ほんの数分で売り切れになってしまう速さに驚くとともに、何とか取得できた時の嬉しさはひとしおでした。
とにかく途中で迷わず、完了画面まで黙々と進んだのが良かったようです。
その後はアクセスできないか、できたとしても次の画面に進めない状態が続いたようです。

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世界最高峰と言われるベルリンフィル、日本人の方がコンサートマスターに就任され、しばらく経ちますが、そのバランスの良さと一糸乱れぬ演奏は世界中のファンを魅了します。

本日のプログラムは、

・Emmanuel Chabrier    Overtuere zur Oper L’Etoile
・Camille Saint-Saens     Rond capriccioso
・Jules Massenet            Orchesterstueck aus der Oper El Cid
・M.Ravel                      Tzigane
・Francis Poulenc           Les Biches,Ballettsuite
・M.Ravel                       La Valse
アンコール Brahms

前半のAnne Sophie Mutterの演奏は、CDなどで聴いた際の力強い印象とは違い、
とにかく1音目から音が美しいの一言。
細くとも決して弱々しくなく、隅々まで耳をすまして聴きたくなるような美しい音色。
琴線に触れるとは、正にこのことだと悟りました。
サン・サーンスの哀愁漂うメロディに彼女独特のかっこよさが加わり、一瞬たりとも聴き逃さず目・耳他全神経を集中して聴いていたくなるような演奏でした。

RavelのTziganeも、難曲でありながら冒頭のソロで見事に聴衆の心を惹きつけ、高度なテクニックはもちろん次々と新たな展開を見せてオーケストラと共に素晴らしい音楽を創り上げていました。

スケールの大きさ、表現の幅の広さ、とにかく素晴らしく、一生に一度彼女の演奏を生で聴くことができ、感無量でした。

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後半のベルリンフィルの演奏ももちろん、たっぷりと楽しませていただきました。
ステージは神聖な場所だなと改めて感じました。
これは発表会でも同じであり、演奏の喜びを唯一味わえる自分の場所であるということを伝えながら、日々のレッスンに精進しようと決意した一日でもありました。
1年の終わりにこんな素晴らしい演奏に触れることができ、感謝です。
これを日々のレッスンに還元し、小さい頃から素晴らしい音楽に触れる機会をつくっていきたいと改めて思いました。

ウィーン ブラームス像

2012/09/02

 ブラームスはドイツ、ハンブルクにて生まれましたが、1871年(38歳)から1897年に亡くなるまで、ウィーンに居を構えます。
ウィーンフィルの本拠地“Musikferein”(楽友協会)で芸術監督を務め、小ホールは彼の功績を称えて、「ブラームス ザール」と名付けられています。

Musikverein


当時、その古典的な作風から、ベートーヴェンの再来とも言われ、その後のクラシック界に大きな影響を与えました。

ウィーンの楽友協会からリンクを挟んで向いのカールス広場には、大きなブラームス像がそびえ立っています。

カールス広場に建つブラームス像

当時、ブラームスが散策したであろう公園や、周辺の景色は、華やかな芸術都市ウィーンをより知的に感じさせてくれる、素晴らしい光景です。
ウィーンには、ブラームスゆかりの場所として、ハイドン記念館の一室や彼をはじめ多くの音楽家が眠る中央墓地、よく散策した公園などが存在します。
随所に当時活躍した芸術家達の足跡が残っており、そのゆかりの地を巡るのもまた楽しいものです。

楽友協会ーMusikverein
http://www.musikverein.at/

ハイドン記念館ーHaydnhaus
http://www.wienmuseum.at/de/standorte/ansicht/haydnhaus.html

念願のウィーンフィル

2012/06/10

大学を卒業後、初めてオーストリアのウィーンへレッスンを受けに行った時、残念ながらウィーンフィルの本拠地、黄金ホールで知られる“楽友協会”は工事中で、中を見ることすら出来ず、再度訪れたいと思っていた場所でした。

楽友協会“Musikverein”

クラシック好きの方でしたら、ニューイヤーコンサートで全世界へ中継されるウィーンフィルのコンサートは有名ですが、一度は現地で聴きたい!という希望がありました。

今回、運良くウィーンフィルのチケットを入手でき、現地で聴くことができ、そのホールの豪華絢爛さ、うっとりするような音響の良さ、正に極上の音楽を味わうことができ感動しました。

豪華絢爛 舞台背後から

天井画も豪華!

今回の演奏は、

Zubin Mehta指揮、ウィーンフィルハーモニー管弦楽団
Arnold Schönberg “Gurre-Lieder ”(グレの歌)

クライマックスの大合唱は、2階席の合唱団も加わり、全身が震えるほどの大迫力で、鳥肌が立ちます。

素晴らしい音響のもと、ウィーンフィルの美しい音色、指揮者の軽快なタクト振り、全てが一体となり極上の空間を創り上げていました。

カーテンコールにて

CDやオーディオでは味わえない生演奏の良さが心地よく、是非また鑑賞したいと感じた素晴らしい一日でした。

ベートーヴェンの故郷~ボン~

2012/04/11

Ludwig van Beethoven(1770-1827)

ドイツ3大B(バッハ、ベートーヴェン、ブラームス)と呼ばれ、古典派音楽の集大成を築いた偉大な作曲家 ベートーヴェンは、ドイツのボンに生まれ、生涯難聴に見舞われながらも、交響曲から管弦楽曲、ピアノ曲、オペラと幅広く作品を遺しました。

ケルンの南に位置し、統一前には西ドイツの首都であったボンにベートーヴェンハウスがあります。

ベートーヴェン像

ここでベートーヴェンは誕生し、実際に誕生した屋根裏部屋や楽器の展示をはじめ、時代を追って当時の様子を見学でき、ベートーヴェンの生涯や音楽をより深く知ることができます。

館内は撮影禁止となっていますが、オフィシャルウェブサイトでバーチャル訪問出来るようになっています。

ベートーヴェンハウス official website

http://www.beethoven-haus-bonn.de

ベートーヴェンの生家

1770年12月17日生まれ

20代でウィーンへ移住しますが、初期はモーツァルトやハイドンの影響を受け、明るい曲調のものが多く、その後、作風も変化していきます。

ベートーヴェン以後の作曲家にも多大な影響を与え、中でもワーグナーやブラームスの作品には、色濃く反映されています。

ボンのベートーヴェンハウスでは、写真・楽器や家具などの展示のみならず、デジタルスタジオも併設されており、ベートーヴェンの曲を聴きながら、楽譜や情報を閲覧することができます。

ピアノソナタ「月光」や交響曲「田園」のオリジナル譜など、世界最大のコレクションを誇ります。

ショップも併設されており、文房具などの可愛いお土産も入手することができます。時間をかけてじっくりと巡れる場所です。

モーツァルトの足跡 ザルツブルク③

2012/03/28

モーツァルトの生家からゲトライデ通りを抜けるとモーツァルト広場へ出ます。

そこに立つモーツァルト像は、長年ザルツブルクの街を見守るかのようにそびえ立っています。

モーツァルト像

あまり似ていないと言われますが、確かに肖像画で見るモーツァルトとは別人!?のような気もしますが、、。

その顔は!?

モーツァルトと最も関わりの深い町“ザルツブルク”は、彼の生まれ故郷でもあり、またここでは世界的に注目されているザルツブルク音楽祭が毎年夏に開催されています。

ザルツブルク音楽祭は1920年8月に誕生し、長い歴史を経て今日では世界で最も注目される音楽祭として、世界中から愛好家が訪れます。

元々はモーツァルトを記念した音楽祭が始まりで、節目節目には、モーツァルトのオペラなどが集中的に上演されます。

世界に名だたるピアニストや一流オーケストラの豪華集結、今年は7月20日~9月2日の開催予定です。

ザルツブルク音楽祭オフィシャルページ

http://www.salzburgerfestspiele.at/

メイン会場は、このモーツァルト像からすぐの祝祭大劇場(2179席)。

祝祭大劇場

チケットは上記サイトからも購入できますが、人気の公演はすぐに売り切れとなっていることも多く、世界中からセレブが集う、人気ぶりがうかがえます。

ザルツブルクに一歩足を踏み入れると、モーツァルトが偉大な存在であり、今日に大きな役割を果たしている様子を身近にうかがい知ることができます。

偉大な作曲家とともに長い歴史を歩んできた街“ザルツブルク”は、可愛らしくもあり、また荘厳な雰囲気も残しつつ、音楽に触れるには絶好の素敵な街です。

モーツァルトの足跡 ザンクト ギルゲン

2011/12/25

ヨーロッパ中を旅行したモーツァルトですが、ザルツブルクから約30km、素晴らしい景勝地であるザルツカンマーグートの一つ、ヴォルフガング湖畔にザンクト ギルゲンという小さな町があります。

ヴォルフガング湖畔の町”St.Gilgen"

ここはモーツァルトの母の生誕地、また姉のナンネルが結婚式を挙げ、生活した地でもあります。

姉 ナンネルが結婚式を挙げたホテル

実際にモーツァルトが暮らした町ではありませんが、ゆかりの地として幼い頃のモーツァルト像が建てられ、近くにはモーツァルトの母と姉が住んだモーツァルトハウスがあります。 

モーツァルトハウス

モーツァルトの母と姉が暮らした家

小さなモーツァルト

モーツァルトの母 アンナ・マリアとモーツァルトの祖父と姉 ナンネルがここに住み、モーツァルト自身はここに住んだりここで作曲したものなどはありませんが、3人の故郷として、今でもヴォルフガング湖を目の前に建つ素晴らしいロケーションとともに、多くの人に愛される地となっています。

モーツァルトハウスには大小様々な部屋があり、用途によってレンタルもできるようです。
【モーツァルトハウスオフィシャルウェブサイト】
http://www.mozarthaus.info/mozarthaus

母 アンナ マリア

姉 ナンネル

モーツァルトの祖父

モーツァルトの足跡 ザルツブルク②

2011/11/16

かの天才と言われた作曲家モーツァルトW.A.Mozart(1756-1791)は、1756年1月27日にこの家で生まれました。

モーツァルトの生家

 この建物は、1階が当時の雰囲気を再現した部屋など、2階がオペラを中心とした舞台モデルのミニチュアなど、3階がピアノや肖像画などの展示博物館となっており、多くの観光客が当時のモーツァルトに思いを馳せようと、訪れます。

4オクターブのクラヴィコード

やはり興味深いのは楽器(クラヴィーア)で、モーツァルトが使用していた鍵盤楽器を眺めていると、思わずモーツァルトの曲が軽やかに流れてくるような雰囲気に包まれます。

モーツァルトの使用したヴァルター作 フォルテピアノ

 こちらのピアノの鍵盤数は5オクターブ、61鍵、現代のピアノとは白鍵・黒鍵が反対になっていますが、これは、白鍵の方が鍵盤数が多く、演奏している手をより白く美しく見せるため、と云われています。

鍵盤部分

モーツァルトの時代は、チェンバロ、クラヴィコードからフォルテピアノへと移り変わる時期でもあり、作風もそれに伴い変化しているように思います。

そして、数々のオペラの名曲を作曲したことでも有名ですが、こちらでは舞台模型のミニチュア版が展示されています。

Teo OttoデザインによるZauberfloete“魔笛” 

数々の素晴らしい作品を残したモーツァルトの生涯を、ほんの少しではありますが理解できたように思います。

これを作品解釈や演奏に活かし、役立てることができれば本望です。

モーツァルトの足跡は、まだまだ続きます。

 

 

モーツァルトの足跡 ザルツブルク①

2011/10/24

W.A.Mozart(1756-1791)

ウィーン古典派の作曲家として名高いモーツァルトは、わずか35歳の若さで亡くなるまで、声楽・オペラからピアノ曲、管弦楽曲など、実に数多くの作品を作曲しました。その数は700曲以上に及ぶといわれています。

そのモーツァルトが生まれたのが、ザルツブルク。

ザルツブルクの街並み(ホーエンザルツブルク城より)

生涯、ヨーロッパ各国を旅行し、その足跡やゆかりのある地を数回にわたりご紹介します。

小路より

まずは、モーツァルトが誕生した生家よりほど近いところに、1773年から1781年まで住んだ家があります。

モーツァルトの住居

第二次世界大戦で破壊されましたが、見事に復元され、中は記念館となっており、観光の中心として多くの方が訪れます。

モーツァルトの住居

オリジナルの文書や肖像画、当時使用していたハンマークラヴィーアやオルガンなどの楽器も展示されており、モーツァルトの歴史を垣間見ることができます。

まだ、現代のピアノのように88鍵なかった頃、オルガン、チェンバロ、クラヴィコード、タンゲンテンフリューゲルが主流でしたが、モーツァルトがここで暮らした期間は、フォルテピアノへと移り変わる時期でもあり、のちにウィーンへ定住後に、このフォルテピアノを手に入れることになります。

鍵盤楽器の歴史に興味がお有りの方にとっても、興味深い場所です。

モーツァルトの住居 公式ホームページ

http://mozarteum.at/en/museums/mozarts-residence.html

【参考文献】

ピアノの歴史/小倉貴久子著(河出書房新社出版)

ブラームスの愛した故郷“ハンブルク”(2)

2011/10/16

前回のブラームス博物館に続き、今回は、そのブラームスが洗礼を受けた“聖ミヒャエル教会”をお伝えします。

ブラームス博物館と目と鼻の先にあり、17世紀に建てられたこの教会ですが、落雷や火事、また第二次世界大戦の際にも大きな損害を受け、修復・改修を重ねて現在の美しい姿になっています。

1833年5月7日に生まれたブラームスが、洗礼を受けたのがこの教会です。

Die evangelische Hauptkirche Sankt Michaelis

塔の高さは132m、展望台からはハンブルク市内の見事な眺望が臨めます。

教会入口

この教会では様々なコンサートが開催され、特にクリスマスの時期のオラトリオは、荘厳な雰囲気の中、身が引き締まる思いがします。

教会内部には、4つのパイプオルガンがあり、音楽ともつながりの深い教会です。

地元の学生合唱団や演奏家によるコンサートに一度足を運んでみると、ホールとはまた違った魅力があるかもしれません。

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ブラームスの愛した故郷“ハンブルク”(1)

2011/10/09

ドイツ三大Bと称される作曲家に、Johannes Brahms(1833-1897)がいます。

彼はハンブルクに生まれ、ピアニスト、指揮者として活躍し、また作曲家として数多くの作品を残しました。

彼の生まれ故郷であるハンブルクの中心地に、ブラームス博物館があります。ブラームスの生家はこの近くにありましたが、戦災で焼失してしまい、1969年に設立されたインターナショナル・ヨハネス・ブラームス協会により運営されています。

ブラームス博物館

ここには、ブラームスの自筆譜や手紙、身辺小物や図書、彼がレッスンで使用していたピアノ、デスマスクや当時の写真などが展示されており、決して大きな博物館ではありませんが、内容は実に充実しており、また館内のおば様がブラームスについてや展示内容について親切に説明してくださいます。

ブラームスの胸像

自筆譜や当時の写真の数々

 

ヨハン・シュトラウスとブラームス

 

そして、なんと言っても感動的だったのが、ブラームスが当時レッスンで使用していたピアノを弾かせていただいたこと。

もちろん年数も経過していますので、中には出ない音やチューニングも正確でない音もありますが、当時このピアノで彼がレッスンをしていたことを思うと、実に感慨深い思いがします。

 

1848年製 ターフェルクラヴィーア

鍵盤の重さもさることながら、音はアコースティックギターに近いような、弦を叩いている感覚がはっきりと手元に伝わってきます。

ブラームスは人生の後半をウィーンで過ごしましたが、多くの手紙からハンブルクへの想いを垣間見ることができます。

「私は、ハンブルクを想うと、とても懐かしくなると同時にすごく幸せな気持になる。もしそこに行った暁には、あの昔からよく知っている防壁や通りを歩き回りたい。」(1858年)

音楽家との歴史とも深い関係がある港町“ハンブルク”。品があり、とても町並みが美しい素敵な街です。

Brahms-Museum Hamburg

Peterstrasse39,20355 Hamburg 

www.brahms-hamburg.de