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    ピアノの効果

    脳科学者 澤口俊之氏が “習い事はピアノだけでいい”と断言されたことで、業界内では様々な取り組みが始まろうとしていますが、今回、アクロス福岡にて本人による講演会が行われ、その根拠を聞いてまいりました。

    テレビや様々な著書でも有名な澤口氏ですが、さすがに話は面白く、分かりやすい事例を交じえながらピアノがいい理由を伺うことができました。

    キーワードとなるのは、幼児教育の著書でもよく使われるHQ(Humanity/Hyper-Quotient 人間性知能)で、これはIQ(Intelligence Quotient 知能指数)にかわるもので、社会的知能や感情的知能を併せ持つ、前頭連合野のもつ人間らしさの知能をいいます。

    このHQが高ければ社会的に成功する確率も高くなる、というもので、
    これからの時代、

    • 明確なビジョンとぶれない信念
    • あきらめずに道を切り開く気概
    • 他者のありがたみを知る
    • 相手の立場を意識した行動力

    が必要とのこと。

    その話を踏まえた上で、いくつかの実験データにより、ピアノの効果が表れているそうです。
    まず第1に、

    「問題解決能力が向上する」

    これは、今回一番納得できたことでもあります。

    欧州の実験結果によると、週1ピアノのレッスンを行った場合と非音楽的習い事を行った場合、ピアノの方がこの能力が向上したとのこと。

    ピアノは練習あってのことですので、もちろんレッスンに通うだけでは成り立ちませんが、演奏しようとする際に、ただ楽譜に書いてある音符を読み、リズムをとらえ、指使いに気を遣いながら演奏する、以外に、そこからさらに一歩進んで、どのような音色で弾きたいか、またそう弾くためにはどのような身体の使い方をしなければならないか、そして曲のもつイメージは!?など、複数を同時に考え、判断・実行しなければなりません。

    まさにそのような思考を反復し続けることになるので、自然とそのような能力が身についてくるのだと思います。

    澤口氏のHQ理論より

    第2に、

    「脳構造を変える」

    よくピアニストの脳はある部分が発達している、という話を聞くことがありますが、ピアノを2年間継続した場合、神経連絡が5倍になったという実験結果があるようです。

    ピアノを演奏する際は、想像力を必要とします。
    そして、リズムなどの認識の際に使う左脳と、この想像力や空間的な認識の際に使う右脳を共同的に働かせることも関係しているようです。
    また、語彙が増えていく(高度な言語能力が向上する)という結果もあるようです。

    これ以外にも、いくつかの実験結果により得られたデータもありますが、まだこのようなピアノなどの習い事に関する実験はそう多いものではありません。

    今回、脳科学者の方から発せられた情報に、今後専門家の方も加わり、より現実的なデータが蓄積され、ピアノがさらに身近なものとなるよう願っています。

    澤口氏ご本人はピアノを演奏されないそうですが、ピアノを義務教育で必修化したらどうか、とも仰っておられました。
    これを実現するには長い道のりかと思いますが、私達指導者の夢でもあります。

    また、世の中には数多くの習い事があり、それぞれに目的があり、良さがあります。
    向き・不向きや好みもあり、一概にピアノだけ、とは断言できない部分もありますが、改めてピアノの良さを実感した講演でもありました。
    どんどんピアノが弾けるようになることは本当に素晴らしいことだと思います。

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